否定する心

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気にはなるが、母が亡くなってから今までの滋賀での生活を思うと、 亡くなった夫を思い、祖母と二人きりで日中を過ごすなんて、とてもじゃないとできない。 ならば一人でも生きていく…? そんな甲斐性も精神的な強さもない。 それをなぜ、亡くなってもいない夫のことを思い悩むのか…。 失う事を知ったからです。 失った後も、生きていかねばならないということを、改めて知ったからです。 今元気ならば、その時に考えれば済むことかもしれません。 実際にそうすべきでしょう。 そうとわかっていながら、とてつもなく不安になるのです。 また誰かを失ってしまうんじゃないかと…。 次はもしかしたらばあちゃんかもしれへん。 昼寝してるばあちゃんを見て、このまま起きひんかったらどうしよう…。 そう考えたことも数知れず…。 今もしばあちゃんが亡くなったら、滋賀で父ちゃんが一人になってしまう。 こんなことになるなん思ってなかった。 母はこの先、何年も生きて、父と二人、老後を過ごすと思ってた。 老後を迎える頃には、私も母親になってるやろうから、その時に考えればいいと思ってた。 それがまさかこんなか結果になろうとは…。 なんで…? なんで私だけ…? なんでこんな思いせなあかんの? 私の友達であるみんなには跡継ぎがいて、誰がが亡くなっても一人になるようなことはないやろう。 そやのに、なんで自分だけ…? 一人っ子やのに、遠くに嫁ぐことになってしまったからご先祖様が怒ってるの…? 滋賀の家を捨てたわけじゃない。 どうしても諦めきれへんくらい愛した主人を選んだだけ。 その主人がたまたま長男で、婿養子にはなれなくて、 たまた職場が遠くて、滋賀に住めへんだけ…。近くに住めへんだけ…。 結婚を間違ってたとは思いたくない。 滋賀の家を捨てたわけではないのやから。 一般的には嫁げば嫁ぎ先の人間になるというけれど、 私は一言でそう言い切って欲しくない。 まるで滋賀の家を捨てたように聞こえるから…。 それ私のわがままになるの…? 嫁いだら、実家は自分の家ではなくなるの…? そんなふうには思いたくない。 それは私の甘えなの…?
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