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満足そうに鏡を見つめた理世はもう一度艶めいた唇の中央に指先を触れさせて、ミラーを閉じた。
「穂乃、帰ろっか」
「うん」
いつもみたいに手を繋ぐ。
同じメイクで同じ制服、ハイソックスにローファー。
全部、同じ。
階段の踊り場にある大きな姿見に映る私たちはどっちがどっちだかわからなくなる。
右が私で、左が理世。
立ち止まってぼんやりと見ていると、鏡の中の私が動いた。
え、あれれ。
私、動いてないのに。
ついに頭おかしくなったかな。
これから鏡にキスするのはやめよう。
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