0人が本棚に入れています
本棚に追加
そこのとが分かった途端、急に睡魔が襲ってきた。
少し冷蔵庫を物色する音が響いた後、トントンと小気味のいい音が鳴り響く。
僕にはその音が、余計に睡眠を誘っていた。
気がつくと、柔らかい感触に襲われた。
抱き締めたらとても、気持ち良いだろうと分かる。
体温に近くて、暑くもなく寒くもない最適な温度だ。
こんな感覚、昔味わったことがある。
…父さんや母さんに抱っこされ寝ているときのような…人に触れ合っている感覚…。
…僕は、目を開けた。
目の前に女の子がいた。
『うぁーー!?』
僕は、飛び起きてしまった。
『どうかしましたか?』
キョトンとした顔で、僕を見つめるエレナがいる。
『何やってんだ。ベットで寝ていたはずだろ!?』
僕は、記憶が混乱していることは分かっていた。
取り敢えず、言いたかったことは、別々に寝てただろうってことなんだけど、頭は回っていなかった。
『よく眠っていらしたので、近くで顔を見たかったのですが、駄目だったでしょうか?』
しおらしくなっているエレナ。
何故かわからないけど、悪いことを言ってしまった気分になった。
『駄目じゃないけど…。』
エレナからの視線を、外してそう答えた。
エレナは勢いよく起き上がった。
『朝御飯作りましたので良かったら、食べていただけませんか?』
と僕を誘導する。
僕は、眠たい目を擦りながら、朝御飯がある場所にむかった。
と言っても眼と鼻の先あるんだけど。
『おー、うまそう。』
そこにあったものは、ご飯に味噌汁、浅漬けに納豆、卵焼きに焼き魚だった。
普通は、こんなに手の込んだ物は作らない。
てか、料理すらしない。
何時もコンビニで、パンを買ったりおにぎりを買ったりして済ませていた。
最初のコメントを投稿しよう!