第1章

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そこのとが分かった途端、急に睡魔が襲ってきた。 少し冷蔵庫を物色する音が響いた後、トントンと小気味のいい音が鳴り響く。 僕にはその音が、余計に睡眠を誘っていた。 気がつくと、柔らかい感触に襲われた。 抱き締めたらとても、気持ち良いだろうと分かる。 体温に近くて、暑くもなく寒くもない最適な温度だ。 こんな感覚、昔味わったことがある。 …父さんや母さんに抱っこされ寝ているときのような…人に触れ合っている感覚…。 …僕は、目を開けた。 目の前に女の子がいた。 『うぁーー!?』 僕は、飛び起きてしまった。 『どうかしましたか?』 キョトンとした顔で、僕を見つめるエレナがいる。 『何やってんだ。ベットで寝ていたはずだろ!?』 僕は、記憶が混乱していることは分かっていた。 取り敢えず、言いたかったことは、別々に寝てただろうってことなんだけど、頭は回っていなかった。 『よく眠っていらしたので、近くで顔を見たかったのですが、駄目だったでしょうか?』 しおらしくなっているエレナ。 何故かわからないけど、悪いことを言ってしまった気分になった。 『駄目じゃないけど…。』 エレナからの視線を、外してそう答えた。 エレナは勢いよく起き上がった。 『朝御飯作りましたので良かったら、食べていただけませんか?』 と僕を誘導する。 僕は、眠たい目を擦りながら、朝御飯がある場所にむかった。 と言っても眼と鼻の先あるんだけど。 『おー、うまそう。』 そこにあったものは、ご飯に味噌汁、浅漬けに納豆、卵焼きに焼き魚だった。 普通は、こんなに手の込んだ物は作らない。 てか、料理すらしない。 何時もコンビニで、パンを買ったりおにぎりを買ったりして済ませていた。
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