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『君は力が溢れているだけなんだ』
『“バケモノ”なんかじゃない。抑え方をしれば君が言う“人”になれる』
『――さあ』
女は赤い口紅をつけた唇で笑みを作りながら。
『君の名前は?』
汚いオレに手を差し出した。
『……シェ、ル…タ』
差し出された手を握り締めればその暖かさに涙が一筋溢れた。
――――――
――…
…
「ん…」
うっすらと瞳を開けたシェルタは見慣れた天井を見てここは何処だかを理解する。
柔らかな布団を肌で感じ、怪我した所が不器用に包帯が巻かれているのが分かる。
シェルタはその緩い包帯を見て照れ臭く頬をかいた。
不器用な師匠が一生懸命巻いてくれたのだと思うと妙にくすぐったい気分にさせられる。
そんな気分に浸っていると部屋に焦げた臭いが漂ってきた。
シェルタは溜め息をつくと痛む体を無理矢理起こし師匠がいるであろうキッチンに向かった。
師匠は戦闘以外全てにおいて不器用で普段はシェルタに任せっきりである。
だが今回師匠は頑張った褒美にと苦手な料理をオレの為に作ってくれてるのが今までの経験から分かるためシェルタはキッチンに向いながらまたくすぐったい気分になったのだ。
戦闘以外全てにおいて不器用。
それが分かったのは
あの夢のすぐ後だ。
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