第三章 放棄

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第三章 放棄

青い扉を抜けるとそこは声で溢れる舞台でした 歌声に朗読、演劇の発声練習からパーカッションまで 兎に角音で溢れています 夢はそんな舞台の住人たちの姿がとても輝いて見えました 夢は嬉しくなって住人達に話しかけます だけど夢の声はとても醜く、聞けたもんじゃありません 舞台の住人たちは夢の声を嫌がり、よりいっそう大きな声を放ちます 夢は悲しくて悲しくて仕方ありません なので夢は閃きます 別の声を作ればいいと 夢はそっと目を閉じ、イメージします 夢は恐る恐る目を開き試しに歌ってみました 夢の声は先程の醜さは消え去り 鈴のような歌声が辺りに響きます 夢の声は舞台の住人の誰よりも美しいものでした 舞台の住人は興奮した様子で夢を褒め称えます 「なんと素晴らしい歌声なんだ!!」 「まるで駒鳥のようだわ!」 「もっと聞いていたい」 夢は舞台の住人に言われたとおり沢山の歌を歌いました 歌い続けているうちに夢は気付きました あんなに溢れていた声たちが いつしか自分のもの以外消え去っていた事に 夢は悲しくなってその場から逃げ出しました 台本や歌詞を床にばら撒いてしまっても走りました すると 今度は、緑の扉が表れました 緑の扉には様々なものが混在して描かれています 夢はその中でテニスボール絵が気になりましたが すぐにそんな事どうでもよくなります 緑の扉を押し開け、駆け込みます
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