千葉あゆむ

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 あゆむは左手で絵を描いている。美術家の中でも別段珍しいことではないが、この学校では4年ぶりのサウスポーに遥夏だけは気にならずにおれなかった。  「千葉君って、サウスポーなんだ。」  「はい、右では思うように描けなくて……」  「たまに挑戦したりしてるの?」  「はい、でないと……」  「でないと?」  「いえ、何でもないです」  「そっか、その先もいつか話してほしいな」  「約束しましょう。でも、いつになるか……」  「待つよ。いつか順位を争うときが来ても、それで千葉君が全力を出せないと嫌だから」  「ありがとうございます。」
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