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朝から降る憂鬱な雨。
雨の日にはいい思い出がない。
遠足や修学旅行も雨が降った。
降ってほしい体育祭は降らない。
だから私は雨女ではないはず。
「はぁ。」
「なずな、どうした?」
「なんでもない。」
受付から見える外の景色に自然とため息がでる。
私、日高なずな。世間から大手企業と呼ばれる小鳥遊産業の受付嬢をしています。
短大を経て、ここに就職して8年。
気付けば三十路も近い28歳。
隣にいるのは私の同期の佐山穂香【サヤマ ホノカ】30歳。
穂香とは年は違うが共通の趣味があい直ぐに仲良くなった。
この4月から一緒のところに配属された。
「なずな、今日飲みに行かない?」
「いいね。いつものとこがいいなぁ。」
「いいわよ。てか、初めて行くところではゆっくりと飲めないもんね。」
そう言って穂香は私を上から下まで見た。
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