238人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
視界不明瞭な霧の中、彼女はもつれる足を引き摺り転びそうになりながら、それでも尚、前へと進む。
目の前には大きな鳥居。濃霧の中、目にも鮮やかな朱色の鳥居。
彼女は怯えていた。
背後から追いかけて来る『何か』に。
――カタ、カタカタ。
聞こえる不気味な音。
「いっ!」
艶やかな長い髪を振り乱し、彼女が背後のそれを目にした時には、既に遅かった。
「!」
――グシャッ。
飛びかかり襲う黒い影が、彼女を喰らう。
最初のコメントを投稿しよう!