prologue

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いくらなんでもまだ早すぎる時間だ。 もう少し眠ろうと、目を閉じようとした時だった。 男が半身起き上がり、私の肩を軽く掴んだ、その拍子に仰向けにさせられる。 「とーる? なに?」 驚いて目を瞬く。 けれど、見下ろしている彼の方が驚いたような焦ったような表情をしていた。 「お前、何泣いてんの?」 「え」 言われて頬に手を伸ばすと、確かにひどく濡れていて瞬きをした途端にまた、目じりから雫が落ちる気配がした。 「ほんとだ、気付かなかった」 あの日は涙一つ、見せずにいられたのに。 今更、夢に見た程度で涙が出るなんて。 それが悔しくて、私は手の甲で乱暴に涙を拭った。
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