第二章

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そう言って美咲は学校めがけて走っていく。 それを見た唯織は、深くため息をついた。 朝日が眩しい。 通常、天狗は朝眠るものなのだ。 唯織は大きく欠伸をかくと、天狗山に帰るために地を蹴った。 しかし、すぐに地面に落ちた。 「な、なんだ……?」 もう一度、今度は走って助走をつけてから地を蹴って空へと飛びだす。 しかしすぐに地面に叩きつけられてしまった。 ――――飛べなくなった……? 天狗にとって、空を飛べないというのは致命的だ。 しかも原因が分からない。 さっきまで美咲を乗せて飛んでいたではないか。 どんなに翼をはためかせても、少し大きなジャンプができるだけで、どうしても舞い上がることができないのだ。 「クソ、何でだ……」 その時、林の入り口から誰かが話す声が聞こえてきた。 「おい、何かいるぞ!!」 「何だあれ?」 よく目を凝らすと、美咲と同じ年くらいの人間の男子である。 明らかに唯織を指差し、目を凝らすようにして様子を伺っている。 なんてことだ。 今、唯織は空を飛ぶことができない。
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