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「鳥じゃねえ?」
「違うよ、デカすぎるじゃん」
「じゃあなんだよ、人か?」
「羽が生えてるぞ? それに、あの格好、変じゃん」
「あ、天狗?」
「天狗!?」
唯織は一気に駆け出した。
木の間をすり抜けるように一気に走る。
「あ、逃げた!!」
「捕まえろ!!」
唯織はもう一度地面を蹴ったが、やはり少しとんだところで落ちてしまう。
「何でだよ!!」
そう言った時、唯織の頭に何か固い物が投げつけられた。
大きな衝撃が後頭部に走り、唯織はもんどりうって倒れる。
「当たったぞ!!」
「さすがエース!!」
「捕まえて、みんなに見せてやろうぜ!!」
そう口々に言いながら小さな悪魔は近づいてくる。
逃げようとするが、体が動かない。
「やめろ……」
その時だった。
何かが唯織の体を掴んだ。
そのまま空高く舞い上がる。
「あ、逃げたぞ!!」
人間たちの悔しがる声は瞬く間に小さくなって、雲の上まで出るのに時間がかからなかった。
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