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唯織は背中から赤い天狗の面を取り出し、顔につけた。
大きな黒い羽根の団扇を手に持ち、枝の上から身構える。
「俺もお前の後から追いかける」
「じゃ、お先に失礼するぞ」
丁度枝の下に女の子が来たのを見計らって、伊織が枝から飛び降りた。
「うわぁ!!」
「いやぁーーーー!!」
そこで唯織の計算外のことが起きた。
女の子が絶叫して泣き叫んだのまでは良かったのだが、彼女は手に持っていた携帯電話を唯織に向かって勢いよく投げつけたのだ。
近距離で面越しに携帯が当たり、伊織がくぐもった声を出す。
すぐに隊背を立て直したのだが、次の瞬間目に入ったのは、大きな水筒が頭めがけて飛んできている映像。
ものすごい衝撃と共に面が割れ、唯織はうめき声を上げながら地面に倒れた。
「唯織!!」
柊の声がして、すぐに彼が駆けつける。
「お前、俺の仲間に何するんだよ!!」
「だって!! 急に脅かすから!!」
「おい、唯織、しっかりしろ……」
柊に抱き起されてすぐ後ろにあった木にもたれかかる。
意識ははっきりしていたが、頭がズキズキ痛んだ。
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