0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
しんしんと降り積もる新雪は、灰色を、真っ黒を、全て浄化していくような、純白の粒 。
「一年ぶりに降ったねぇ。これなら、明日には一面銀世界だ」
窓の外を見つめながら、碧眼の少年は呟いた。
「リズ、雪が積もると寒いから、や」
暖炉の前で毛布に包まった少女の、兄である少年に向けた言葉だった。
「そうだね。でも、僕は嫌いじゃないよ。こっちの方が、綺麗だから」
「……パパとママは? いつ、帰ってくるの?」
少女が少年へ体を向き直し、潤んだ瞳で問い掛けた。
「さあね。いい子にしてたら、きっと帰ってく るよ」
何度目ともわからない問答。少年は心苦しく笑った。少女にもわかっていた。
最初のコメントを投稿しよう!