第1章

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一先ず、この不自然な丸い場所から伸びる一本しかない道を進むしかない。 そう思ったら、何だか名残惜しくなってきた。 名残惜しいだなんて。。。 なんだか愛おしく感じたこの丸い場所を、一周まわってみた。そして、薄暗い道を進む。 道を歩いて10歩位進んでから、なぜか、また後ろ髪をひかれてしまった。 ふと、後ろを振り返る。 すると、先ほどまでそこにあったあの不自然な丸い場所は消えていた。 消えていたというより、恐らくそこにはある。あるのだが見えない。 夜になったのだ。 でも、あの場所以外は夜だった。 完全に暗かった。 明るかったのは、あの場所だけだったのだ。 なんだろう。 胃がきゅーっとするような痛みが走った。 この道が、周りを見渡しても1番明るい。とは言え、ここでさえ暗い。 。。。。。もう、進むしかない。 そんな気がした。 もう、後戻りは出来ない。 戻りたくない。 不幸中の幸いで、私が歩く場所は一先ず明るい。 。。。進もう。 そもそも、どうしてこんなに冷静なのだろう。 自分でも不思議だった。 倒れていて、眼を開けた瞬間は恐怖が襲ってきた。不安だった。 あの場所を出るまでは、不安が残っていた。 なのに、今は安心にも似た心地に支配されている。 自分が不気味だった。 なぜここにいるんだろう。 でも、もうこの問いは、不安ではなくただの疑問になっていたのだ。 動かなければ、なにも起こらないのだ。 でも、歩けば。。。 不安になってなんかいられない。 とにかく進むのだ。 進めば、何かしらある。 いいことだって悪いことだって。 もう、あの居心地の良い丸い場所は闇に消えていた。
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