一章

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 船は遠い東の島国リハンの港に停泊していた。 「なあ、ここで本当にいいのか?」  契約を終えたエクシブは降りる港を選ぶ権利が与えられている。今回停泊している島国のような場所で降ろしてもまた船に乗らねば出ることが叶わない為、二度手間となる。それに乗船代はけして安くはない。皆が止めてくる。しかしエクシブは常々この土地に来たいと思っていた。故に丁度良いからここで降りると言ったのだ。  皆信じられないと言った顔をしてエクシブを見ている。  船長に至っては、一週間はここで停泊しているから気が変わったなら言ってくれと、わざわざ停泊日まで伸ばしてくれた。  通常の停泊日数なら二、三日がいいところなのに……だ。そのうえ、正当な報酬だと金貨までくれたのだ。  袋に入りちゃらちゃらと鳴る。おおよそ三十枚。この枚数なら当分遊んで暮らせる。 「通常は漕ぎ手を送って来たとこに払う分だが、お前の場合は自分自身だからな」  正当な報酬と言われてしまえばエクシブも受け取らねばなるまい。  船長に感謝を告げ、遠慮なく戴いくことにした。
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