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「いらっしゃいませ」
営業用の笑顔で近づく器量良しの娘、おそらくここの看板娘だろう。
「人数が多くて悪いが、これで出せるだけ出してくれ」
金貨を三枚手に渡すと、たちどころに満面の笑み見せてくれた。
貸しきるには十分の料金らしく、店員達はどんなに騒いでも嫌な顔一つしなかった。
どんちゃん騒ぎで半分以上の船員がつぶれたころ、ふと、見知らぬ顔があることに気付いた。
端のテーブルでローブを頭からすっぽりと被る者は、誰の目にも止まらず一人酒を飲む。コップを持つ手は白く細い……エクシブは直感で女だと気付いた。
厳つい船員が貸しきる酒場で、誰の目にも留まらず飲んでいる女に興味をもち、テーブルへと向かう。
正直エクシブは女性に免疫がない。
なので自らそちらに向かうことに内心驚いたが、まぁ酒も入ってるからだろう、と女の横に立った。
わざとらしく咳きをし、声をかける。
「隣……良いですか?」
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