一章

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 その声に顔を上げる女  白銀の髪に透き通るほどの白い肌。  そして──。  赤い瞳。  眉間に手を当て慌てて首を降る。 「……?」  目の前には小首をかしげて不思議そうな顔をしている普通の娘。赤毛に近い茶色の髪に同じ色の瞳。 「どうかなさいました?」 「えっ! いや、少し酔いが回ってたようです」  面目なさそうな顔で苦笑すると、クフフと笑う。 「どうぞ」  そう言われて、エクシブはそそくさと席に座った。  小柄で自分の身よりあきらかに大きいローブを被るが、少しながら見える顔は少し釣り上がりながらも、ころころとよく動く大きな瞳。それと可愛らしく覗く小さな八重歯の口元が特徴的な、なかなかの器量良し。年の頃は二十より下だろう。女性というより少女といった感じだ。 「この島には、どのようなご用件で?」 「例の木の採取を頼まれてましてね」  すると、予想通りの答えだったらしく嬉しそうに笑う。
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