一章

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「オレは降りるが、またいつか会えたら酒でも飲もう」 「はは、運良く生きてればな。お前は俺たちと違う。意地でも長生きしろや」  彼らは重罪人。この厳しい環境においてはもって二、三年だろう。言うなれば今生の別れである。それでも彼らは笑いながらエクシブを送る。人以下と成り下がった彼らと近い目線で生きた最後の者。  交わす言葉は軽いが想いは違う。この場を生きて出る者に自分たちの分まで、と想いを託して送り出すのだ。  故にその想いに対して目に光るものが現れようと、凛として返さねばならない。 「任せろ」  たくさんの歓声が上がる中、ザクが声をかける。 「挨拶が終わったら、船長室へ行け。契約の終わりは船長に、だ」 「わかった。後で行くよ」  この部屋に居る者たちへの挨拶も終わり、別室の船員たちのもとへ行こうと扉に手をかけたエクシブは、返事をしながら部屋を出た。 「契約終了……か」  騒がしくなった部屋の扉を閉めこの一年をふり返る。
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