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「成宮くんっ?・・・な~る~み~や~!?」
もうっ・・・何処行ったのよ~っ?
桃花は運動場の周りの植え込みの間を歩きながら呼びかける。
あ!!
もしかしてもう教室に戻っちゃったとか!?
・・・成宮ならあり得るな?
靴あるか確認して来よっ
運動場に出る時は、体育館の外にある靴箱前で履き替えるのだ。
まだ外にいるなら運動用のシューズがあるはず!
桃花はくるっと方向転換すると大きく一歩足を踏み出した。
大股で2、3歩歩いたところで桃花の靴のつま先に何か柔らかいモノが当たった。
グニャッ・・・
ん?グニャって・・・
「痛てぇ・・・」
足元を見ると桃花が蹴ったのは渉の脇腹だった・・・
植え込みの陰の芝生に寝転んでいた渉は軽く上半身を起こすと桃花の足首を捕まえた。
「人が気持ちよく寝てんのに何邪魔してんの?」
「きゃっ!ちょっとっ!?・・・離してよっ・・・あっ!」
脇腹を蹴った右足首を捕まれて慌てて足を引っ張ろうとすると、バランスを崩した桃花はそのまま倒れた。
「・・・った~・・・」
「み・・・ぞおち入った」
「えっ?ああ~っごめんっ!!大丈夫?」
倒れた時に桃花のヒジが渉のみぞおちを直撃していたようだ。
・・・って私の足首掴んだ成宮が悪いんじゃんっ
そう思いつつも桃花は慌てて起き上がると渉の苦痛に歪む顔を覗き込んだ。
「そんなに俺の事が心配?」
「・・・は?」
唇の端を上げてニヤリと笑った渉に気が付いた時には、すでに桃花の右手首を掴まれていた。
ま・・・またっ!?
「ちょっとっ?お腹痛いって嘘なの!?心配してソンしたっ!」
「痛いのはホント」
「もう・・・体育サボってないで戻りなさいよ」
「眠たい・・・もうリレーの練習出たしいいじゃん」
「はあ?まだ2時間目よ?お昼前に眠たいって・・・」
「いいから寝かせろ」
「ちょっと・・・?」
なんで手掴んだまま寝るのっ!?
目を閉じて10秒も経たないうちに渉はスースーと寝息をたて始めていた。
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