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璃杏はいつも通り本を開いて眺めていて・・・
よく見ると本ではなく璃杏がいつも見ているのは楽譜だったのだが。
彩はヴィーナスの部屋専用のパソコンを開いて睨めっこしている。
委員の仕事の予定でも確認しているのだろうか?
「パーティーあるんだ?ウチには来てないなあ・・・って当たり前か!」
彩の家は一般家庭に多いサラリーマンの父と専業主婦の母の3人家族だ。
子供の頃からずば抜けて頭が良かった彩は将来性を買われて中等部から奨学金で鷺ノ宮学園に入っている。
成宮が毎日登校して成績上がったら学年トップの座も危うくなるかもしれないのに・・・
成宮を登校させようとするのに協力してくれるなんて余裕というか・・・
あまり学年トップにはこだわってないのかな?
「私まだこっちに知り合い少ないし、パーティなんて大人ばっかりで退屈すぎて・・・
彩も来てくれると嬉しいんだけど?」
桃花は手に持っているパーティーの招待状を彩に渡した。
“彩”なんて・・・親し気にこの2人の名前で呼ぶようになるなんてね。
桃花は新たなこの地でお嬢様としての品格をレベルアップするつもりだったのだが・・・
公の場所ではお嬢様だけどここでは普通に女子トークで騒げちゃう。
そんな友達、周りにいなかった。
皆ツンとお高くとまったお金持ちのお嬢様ばっかりで・・・
私が京都の柔道の大会で優勝した時も喜ぶどころか嘲り笑う人がほとんどだった。
最初は私の家柄や貌に惹かれて寄ってきたけど、私の趣味や特技を理解してくれる人はいなくて
『聖凛女子』で残念なお嬢様って噂された。
結局うわべだけのつきあいでホントの友達なんていなかったんだ。
「私も行っていいの~?ありがとっ桃花!」
彩と璃杏には・・・私本音でつきあえるかも・・・
「じゃあ彩は今日一緒にウチに寄って~・・・
パーティー用のドレス選ばなきゃね?私ので良かったら貸してあげるっ」
「いいの?助かる~璃杏っ!」
まだ出会って間もないのに桃花にはそんな予感がした。
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