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結局、五分としないうちに一人と一羽は捕えられた。浴場にて隅々まで綺麗にされたハクトは、一体どこから出したのか、アオイによってフリルをふんだんに使用した白のロリータドレスを着せられていた。
「やはり私の見立てた通りですね。よく似合っていますよ、ハクト」
ハクトは着慣れない服で違和感が拭えないのか、しきりに袖を気にしている。スカートにも馴染みがないのかそわそわしっぱなし。アオイはそれ含め、微笑で見守っている。
「ああ、そうです。これ、磨いておきましたよ。随分と使い込まれて、刃がボロボロでしたから」
やはりどこから出したのか、それを突っ込むのは最早タブー……ハクトの大鉈を取り出して、それを手渡す。
大鉈を握ると、ハクトは少し表情が落ち着いた。そして見事な手つきで振り回し始めた。
「ちょっ、ハクト、室内でそんなもの振り回さないでください、危ないじゃないですか。それに折角の可愛らしい衣装が……」
と言っている間にも、ハクトは視界にネズミを捉えた。
暫くは眺めていたのだが、すぐに飛び掛かり大鉈で両断してしまった。
「ああ! 私の屋敷が! ハクト、なにしてるんですか……って待ちなさい!」
また何かを発見したのか、ハクトは窓を突き破って逃走した。
それをアオイはすぐさま追いかける……青年と少女の、少し奇妙な生活の幕開けであった。
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