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もう何人もの同族を斬り伏せてきただろうか、考えることも放棄した。
屍の上に立つ少女は、血のように赤く染まった空を見上げて放心した。
死体で出来た山。返り血を浴びた躰。目に映るものが全て赤。最早全てを殺したとて、少女の衝動は収まらない。
斬りたい。斬りたい。動くものを。生物を。
筋肉を裂く感触が好きだ。骨を断つ音が好きだ。耳を劈くような断末魔が好きだ。それらなしでは、もう生きることが出来ないほどに。
屍を踏み躙りつつ、少女は再び彷徨った。この赤い世界を。紅く紅く染めるために。
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