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「全く……心配したんですよ? 君がどこかへ消えてしまったあの時からどれだけ探し回ったと……」
そこにいたのは、180はありそうな長身の、痩せ型の青年だった。きっちりとした洋服を身に着け、いいとこの出身とわかる出で立ちだ。白兎を抱きかかえ、うっとりした表情で撫で回している。
対し少女は、袖も襟もボロボロになった、血がこびりついた麻の服。喉を鳴らし、姿勢を低くして、青年を警戒している。
「兎に角、無事で何よりでした。さ、帰りましょうか。貴女も、次からはシャルル・コンスタンティヌス三世を襲わないでくださいね」
それだけ言い残し、青年は少女に背を向ける。
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