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「ハク、ト……」
「気に入ってくれましたか。ではハクト、これからよろしく」
血塗れの少女、改めハクトはアオイの手を取った。そう、まるで引力に惹かれるように。そしてアオイが手を引いて、ハクトを立ち上がらせる。
「では、私の家にご案内しましょうか。その大きな刃物は大切なものですか? ならば大事に抱えていてくださいね、少々飛ばしますので」
そう言ってアオイは、白兎を抱いていない方の腕でハクトをひょいと脇に抱えた。
ぐっと足に力を込め、アオイは高く、高く、跳び上がった。
「うあッ!?」
「おっと、驚かせてしまいました? まあ慣れてください、すぐですから」
日が地平に隠れ、碧い夜がやってくる。碧い夜に、青白く光る月。それを背景に飛び跳ねるアオイは、とても映える。
ハクトは今までに感じたことのないものを胸中に抱き始めていた。
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