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乾いた凍てつく風が髪を撫でてその一房が、唇に張り付いた。
硬いスティール製のベンチが冷たく身体の熱を奪っていく。
枕代わりに丸められた彼のジャケットの感触を確かめるように指先を動かす。
どうやら、駅のホームのベンチで私は眠りこけていたらしい。
そのことに気が付き、脳が徐々に起きてくると、
その隣で、聞きなれないイントネーションで話すのは、東雲リーダーの存在に気づいた。
「だで、わかっとるっちゃ。
結婚はそのうちするし、彼女がおらんってわけちゃうだで。
え?年はなんぼか?
まだまだガキが生める年齢だで、安心せって」
っふ。
つい、笑いが沸き起こってしまい。
しまったと、口をつぐんだ。
だが時遅し、リーダーが私の顔を覗き込み、渋い顔で私を睨みつけた。
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