1110人が本棚に入れています
本棚に追加
身体を起こし、ぼさぼさになった髪を直す。
私に背中を向けて、彼は、口元にあてたままのスマホを両手で囲った。
「いや、別に。
聞いとる聞いとる。
何でもにゃーって。
俺のことは心配せんといて。じゃあ切るで。おやすみ」
しーんと静まり返ったホーム。
ベンチで、背伸びをしようとした私の肩を思いっきりつかまれ、反転させられてしまい、東雲リーダーとご対面することとなった。
「おみゃー(おまえ)、人の電話勝手に盗み聞きしとんなよ」
「え?今なんて言ったんですか?」
聞きなれないイントネーションに、眉を寄せて聞き返した。
ウザったそうに、彼はまたもや、言葉を吐き出す。
「うるしゃー。都会のもんが」
最初のコメントを投稿しよう!