キスフレ2nd Vol.14

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★ 「かんぱーい」 わたしが言った言葉に、不満そうな表情で、グラスを持ったまま微動だにしない東雲リーダー。 とりあえずのビールを飲んで、気分転換にかかる私をじっとりとした眼が 眺めている。 「気楽なもんだな。 あんな目にあっておきながら、ビール飲んで、幸せそうな顔してる お前の神経の図太さは、尊敬の域に達してる」 「そういわれましても、人間前向きに生きないと、 生きていけないじゃないですか。 それとも、エンドレスに、泣き続けていたほうがよかったでしょうか?」 突き出しのたこわさびに早々に手をつけながら私が答えると、 あきれた表情で大きくわざとらしい溜息をわが上司はついた。 「おれは、お前が泣きまくるから、 一人放置できずに、そばにいてやってだな、 飲み屋に入ったのだって、 まだ引きずっててつらいだろうからと思って、 配慮してやったっていうのにな。なんだか気が抜けたぞ」
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