同室者

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  ぽてぽてと、間抜けな足音をわざとたてながら、彼が入っていった部屋の、リビングを挟んで向かいのドアを開ける。 部屋のなかには、備え付けられている最低限の家具と、段ボールが二つ。 予め送っておいた、ボクの数少ない私物。 ……ここが今日から、ボクの部屋、か。 一歩足を踏み入れれば、そこはもうボクの部屋なのに、なぜだか入るのが躊躇われる。 まるで拒絶されてるみたいに感じるのは、何でだろう……。 心臓の代わりに重石が入っているみたいに、胸の辺りがズンと重い。 「……」 ボクはそっと息を吐き出して、足を一歩踏み出した。 部屋に入って、鍵を閉める。 カーテンのしまった室内は、少し薄暗い。 ドアの向こうに人の気配がしないのをしっかりと確認してから、ボクはフッと体の力を抜いた。 ついでに顔から表情も抜け落ちる。 ここまで、来たんだ。 いよいよ、始まる。 ボクはドアに凭れて、ズルズルと床に座り込んだ。 後にはもう、引き返せないーー。 頭の奥で、アイツの笑い声が聞こえた、気がした。 〇 〇 〇 クゥ~……。 空腹を訴えるお腹の音に、ゆっくりと浮上する意識。 重たい瞼を押し上げれば、目の前は暗闇で、パチパチと瞬きを繰り返す。 えーっと、ここは……あ、そっか。 ボク、学園に戻ってきたんだ。 だんだんと頭が動き出す。 どうやらいつの間にかに、眠ってたみたいだ。 それにしても、いつの間に寝ちゃったんだろう。 荷物整理をしようと思ってたのに……。 座ったまま寝たせいで痛む体に眉をひそめながら、ポケットからケータイを取り出す。 そして時間を見てびっくり。 わ、もう八時になるんだ……。 確か、寮に着いたのが三時過ぎくらいだったから、約五時間……。 思わず苦笑する。 そりゃあ体も痛くなるし、お腹も空くよね。  
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