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「っわりぃかよ……」
よっぽど恥ずかしかったのか、ほっぺと耳を真っ赤にして視線を逸らす同室者。
これは……。
ボクの予想とはちょっと違ったけど、結果的にはむしろオッケーだ。
だって、手料理を振る舞っても良いって思えるくらいには、ボクのこと信用してるってことでしょ?
少なくとも、警戒はされてないってことだよね。
顔を赤くして、気まずそうにボクの反応を窺っている彼に、少しだけ、本当に少しだけ、罪悪感を感じるけど……。
ごめんね、悪いようにはしないから。
ボクはふにゃりと笑って彼を見上げ、
「やった。ご飯だ!」
彼の横をすり抜けて、リビングのソファに飛び乗った。
「ごっはん! ごっはん!」
そのままはしゃいでいれば、同室者に怒鳴られるかなと思ってたけど、なぜか無反応。
照れて怒ると思ったんだけど……。
不思議に思って振り返れば、なぜだか彼は固まってた。
さっきのやり取りで、固まる要素ってあったかな?
仕方がないから彼が我に返るまで、フカフカのソファをトランポリン代わりに跳び跳ねた。
「って、おい! ソファで遊んでんじゃねぇ!」
「ご飯はやく~」
「っ……。おとなしく座って待ってろ」
「はーい」
〇 〇 〇
ボクはただいま、激しく後悔中だ。
「ほら、……不味くても文句言うんじゃ、っておい。だいじょぶか?」
「ケホッ……だいじょ、ぶ……っ!」
「チッ」
せっかく同室者が夕飯を持ってきてくれたのに、今ボクはそれどころじゃない。
彼はボクの様子を見ると、お皿をテーブルに置いて、リビングから出ていった。
冷蔵されていたものを温め直してくれたのか、彼が持ってきたお皿からはホカホカと湯気が。
せっかく用意してくれたのに、ごめん。
調子にのってソファで跳ねたりなんてしたから、呼吸が……。
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