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どうしようかな。
荷物整理は……後にして、先にご飯食べに行こうかな。
今の時間、食堂はまだ混んでるだろうし……コンビニでいっか。
決まったところで、自己主張の激しいお腹を擦りながら、部屋を出た、ら。
「……こんばんは?」
ボクの部屋の前に、整った顔をムッスーっと歪めた、同室者が立っていた。
なんでここに?
というか、お腹空いてるからさっさと退いてほしいんだけどな……。
なんて本音を押し隠して、ぽやーんとした顔で同室者を見上げる。
それが彼にはお気に召さなかったようで。
「チッ……」
嫌そうな顔で舌打ちされた。
人の部屋の前に立って通行の邪魔をしている挙げ句、見下ろして舌打ちをかました失礼な同室者。
そんな彼をボクは、表情をピクリとも変えず、相変わらずぽやーんとした顔で見つめ続ける。
「……」
「……」
先に痺れを切らしたのは同室者だった。
「……って、……だよ」
「なーに?」
体に似合わず小さい声の彼に、こてんと首を傾げる。
同室者の彼は、もう一度舌打ちをし、恐ろしい顔でボクを睨み下ろしながら言った。
「だからっ! 今までなにやってたんだって、聞いてんだよ!」
「……」
えーっと……。
一見怒ってるようだけど、この台詞といい、わずかに赤くなった耳といい、どうやらボクを心配しているみたいだ。
まぁ普通そうなるよね。
なんせ、睨んでシカトしてやった同室者が、夕食の時間になっても部屋から出てこないんだもん。
しかも相手は転入生。
自分が原因で登校拒否なんてなったら……そりゃあ心配になるよね。
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