第1章

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意味しています。これは国王陛下リクラッカ18世様、ご意思。」  よくわかんないけど、ディル王女は魔法勉強中で、王妃は国を 守って結界の為に身を拘束して、その居場所は国王も判らないと。  なんだ二行で済むじゃない、簡単なことじゃん。そういったら。 「アリアナ様はパケット様の妹君ですよね?ステファンス様の方が 近いような語り口ですね。」  それを言われて恥かしくなって、顔を赤くしていたのを背けて 「で?その続きは何なの?」と言った。  はい。本題に入ります。バルドは構えて言った。 「時間がないようですのでまとめて。ステファンス様を審理した、 謎の男はオズマ様に正体を見破られて煙になって消えました。 つまり、人間ではありません。それ故にステファンス様は、 オズマ様が保護されていますが、保護というよりも頼みがあって。」 「大魔女があんな詭弁男に何の頼みが?」 「きべ……。ともかく、魔女及び、リクラッカにおける魔法は 王家筋の女性のみが継承できます。あたくちはオズマ様から、 動物本能を増幅(オーバードライブ)させて人語を使っています。 ですが、魔法を使う者は、科学を生み出せない定めがあります。 これも森羅万象のナントカって言ってて。えーと。」 「忘れた口上はいいから、次進んで。」 「あ。すいません。で、とにかくステファンス様の造形される 科学に基づく飛行物体を、完成させる必要があるそうで、 その為に、オズマ様が保護し作業を現在進めておりますが。」 「が?」 「実は、ディル様の正体を憶測ではなく知っているのは 魔女と使い、王家の方々以外では……アリアナ様。アナタのみ。 先ほどの話で、お解りの様に敵は王妃様の二重結界の内側に 入っていますが、今がチャンスだと申されます。  敵が狙うは、王女でも国家でもありません。その図書館。 最深部にあるというグリモアールの王女が、学ばれない方。 封印された魔法書へ到達し入手するのが目的です。」 「ちょっとまってよ何が何だか判らないよ!」 「時間がありません。強引ですがお連れいたします。」 「兄貴はいいの?」 「パケット様だけは、大丈夫なんです!兄上様だけが、 太陽を呼ぶのです。だから王女様のお近くに。」  窓の外の不気味な暗闇に、煙が立ち込めたのを見て、 バルドはオズマから預かった、水晶石の中にアリアナを 保護して首輪につけ、城から脱出した。
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