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ここか……なんかすごいホテルだな――。
マリオングランドホテルは、一般市民が気楽に入れるような雰囲気のホテルではなかった。
噂には聞いてはいたが、かなりハイソな感じのするホテルだ。恐る恐る中に入ると、エントランスには大きな噴水があり、まぶしいくらいの煌びやかなシャンデリアに、床は全面大理石だった。一瞬、本当にこんなところに劉がいるのかと疑ったが、内装を見れば見るほど、豪華な雰囲気が彼の好みと一致する。
「あの、夜分にすみません。ここに劉健飛リュウ ジェンフェイという男性が宿泊していると思うんですが……」
きょろきょろしながらレセプションに行くと、さすがに時間帯が遅いだけにカウンターの従業員の男が怪訝な表情で僕を見た。
「お名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」
「宮村です。宮村大河です」
「お名前を証明できるものをお持ちですか?」
身分証だって? ホテルのレセプションでそんなこと聞かれたことないぞ――。
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