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劉のいる部屋は一番奥の部屋だった。おそらく、このホテルで一番高価な部屋だろう。
その部屋の前に立って何度も深呼吸をすると、ぐっと息を呑んでノックをした。
「大河だろ? 入れよ」
部屋の奥から劉の声で返事が聞こえた。僕は躊躇うことなくゆっくりとドアを開けて部屋に入った。
「やぁ、こんばんは。いい夜だね」
劉だ――。
彼は、黒い革張りの豪華な椅子に座って、優雅に赤ワインを飲んでいた。やけにリラックスした様子に、肩透かしを喰らった気分になった。
劉のいる部屋は、まるで高級マンションのモデルルームのようで、ひと通りキッチンや家具など揃ってはいるが、まったく生活感が感じられない無機質な部屋だった。
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