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「や、安田……? お前……。あはは、なるほど、そういうことか……お前の持ってる部下のハッカーに任せれば、仕掛けた爆弾なんかすぐ見つけられるってわけだ……結局、お前も警察に魂売ったんだな」
「違う。ただ俺は二条さんのやり方に賛成しただけだ。劉、お前は自分だけの私怨に囚われて自身を見失ってる」
「うるさい! この裏切り者! お前なんかになにがわかるって言うんだよ……二条さんと同じこと言うな!」
劉がらしくもなく取り乱すと、篠田が背後にいる部下に連れて行けと指示をだす。
「俺に触るな! くそ!」
劉が捉えようとする捜査員を振り払って暴れている。そして僕は、考える前に口走っていた。
「や、やめろ! 劉を、離してやってくれ」
僕だけが知っている劉の過去が未だに頭にこびりついて離れない。これ以上、劉が苦しんでいる姿を見るのは耐え難かった。
僕が発した言葉に捜査員が驚いて、その一瞬の隙を突いたその時だった。
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