終章 新たなる蜜月の始まり

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「大河……だからお前は甘ちゃんだって言うんだよ」 「っ――り、ゅ」  劉が懐から銀色に光る何かを取り出して、僕に向けたと同時に目の前が真っ暗になった。  耳を劈くような爆音がして、何が何だかわからず混乱した。 「っ……!」  確かに目の前が真っ暗になったが、僕の意識はしっかりしている。真っ暗になったと思ったのは、篠田の背中が目の前にあったからだった。ふわっと煙草の香りが鼻を掠めた時、篠田の背中がズルリとスローモーションのようにゆっくりと落ちていった。 「し、のだ……」  そして視界が開けた向こうに、銃弾を放ったばかりの劉が口元に笑みを浮かべて立っていた。  さっきの音は、銃声……だったのか――?  きな臭い硝煙の匂いと、細い煙が銃口からゆらゆらと揺れ出ているのを見て、劉が僕を撃とうとして、篠田がそれを庇ったのだと悟った。 「おい! なにぼさっとしてんだ。早くあいつを捕えろ」 「は、はい!」  安田は篠田が撃たれた光景を目にしながらも毅然として言うと、はっと我に返った捜査員が劉に手錠を掛けた。
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