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嘘だ……嘘だ! 嘘だ! 篠田が撃たれたなんて――。
「しっかりしろ! 篠田!」
掠れた声でそう叫ぶのが精一杯だった。取り乱す僕の横を捜査員に囲まれた劉がすれ違いざまに言った。
「大河……ゲームオーバーだ」
「っ……く」
僕はがくりと膝をついて拳を握った。背中の向こうで劉が去っていく、悔しいがどうすることもできない。劉が言ったように、ゲームオーバーなのだ。
「これがゲームだって……? ふざけるなよ」
力なく横たわる篠田に触れるのが怖かった。死に向かって消えゆく熱に触れることなんてできない。
「安田さん、ごめん……篠田を二人きりにしてくれないか」
「……わかった」
なんとか声を掛けようとしてくれていたのはわかる。けれど、安田もこの状況に戸惑いを隠せないでいた。
心配そうにドアが閉まる直前まで僕を見つめ、バタンと部屋のドアが閉ざされると、僕と篠田の二人だけになった。
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