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※ ※ ※
――翌朝。
「うわぁぁぁっ! な、なんだ、これ!?」
昨夜は何度篠田と抱き合ったかわからない。いつの間にかぐったりと泥のように眠ってしまったらしい。
朝になったと気づき、うっすらと目を開けた。しかし、好きな人と情事を交わした爽やかな朝のはずだったのに、目の前には真っ赤に染まった無造作なシーツが広がっていた。
「うるせぇな……なんだよ朝っぱらからでかい声出して」
「だ、だって……あんた背中見せてみろよ」
「あぁ?」
僕は無理やり篠田の身体をひっくり返した。すると、案の定せっかく縫った傷口がぱっくりと開いて血が固まっていた。
「あんたは! どこまで心配させれば気が済むんだよ!」
それでも篠田はまったく傷なんて気にも留めずにいつまでもまどろんでいた。
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