ケダモノ刑事の甘い独白

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「篠田!」  エントランスを出たところで名前を呼ばれて振り向くと、笑顔で手を振りながら駆け寄ってくる大河の姿が見えた。 「お疲れ様、たまたまこの辺を通りがかった時にあんたからメールが来てさ、寄ってみたんだ」 「へぇ、そうか」  嘘つけ、たまたま通りがかった割にはえらくタイミングがいいじゃないか、おおかた待ち伏せでもしてたんだろ――。  素直に一緒に帰ろうと思って待っていたとは絶対にこいつの口からは言わないだろう。だから、“たまたま通りがかった”そういうことにしておいた。 「あぁ~さぶっ」 「今夜はクリスマスだね」  大河はひねくれているくせに意外と性格は乙女な部分がある。  付き合って丸一週間の時には、俺の好きな煮物を作って用意してくれていた。気が向いたから作ってみたと言っていたが、あまりからかうとへそを曲げるので素直にありがたく頂いた。
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