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カフェを後にし、紅美は朝比奈社長に連れられてしばらくドライブを楽しんだ。
朝比奈社長は、ここだけの話と称して朝比奈の幼少期の話や、喧嘩した時の話などを懐かしげに紅美に話して聞かせた。そんな時間を過ごしているうちに、紅美のどんよりとした気持ちも雲が晴れたようになった。
「すみません、社長もお忙しいのに貴重なお時間頂いてしまって……」
「いいんだ。君が元気になってまた仕事に精を出せるなら……じゃあね」
楽しい時間はあっという間に過ぎ、朝比奈社長はそう言って紅美のアパートを後にした。
(朝比奈社長、いい人だな……)
そんなふうに思いながら紅美は階段を上がり、ふと自分の部屋の前を見てみると、思いがけない人物が目に入り凍りついた。
「お、母さん……?」
「紅美!」
「やだ……どうしてここが……」
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