Secret 8 大野の告白

16/29
前へ
/381ページ
次へ
「借金よ。あの店長さん、雑誌で見たけどなかなかのイケメンじゃない。お金も持ってそうであの人ならお母さん賛成よ」  昔から男を見る基準は経済力とルックス、それで何度も失敗をしてきたというのに、まったく懲りずにいるみどりに紅美は呆れてため息をついた。 「お母さん、朝比奈さんにどうして借金の話なんかしたのよ? しかも金額まで……あの人は、私の上司だし――」 「もうすでに恋人だったり……?」 「ち、違う!」  思わずムキになると、みどりはそんな紅美をにやりと笑った。 「意中の相手ってことね? うふふ」 「そ、そうよ……だから恥ずかしいことしないで」 「だって、もしもよ? あの店長さんが紅美に少しでも気があったら……あなたのこと助けてあげたいって思うじゃない?」  みどりの思惑を知って、紅美は怒りに震えた。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

628人が本棚に入れています
本棚に追加