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「借金よ。あの店長さん、雑誌で見たけどなかなかのイケメンじゃない。お金も持ってそうであの人ならお母さん賛成よ」
昔から男を見る基準は経済力とルックス、それで何度も失敗をしてきたというのに、まったく懲りずにいるみどりに紅美は呆れてため息をついた。
「お母さん、朝比奈さんにどうして借金の話なんかしたのよ? しかも金額まで……あの人は、私の上司だし――」
「もうすでに恋人だったり……?」
「ち、違う!」
思わずムキになると、みどりはそんな紅美をにやりと笑った。
「意中の相手ってことね? うふふ」
「そ、そうよ……だから恥ずかしいことしないで」
「だって、もしもよ? あの店長さんが紅美に少しでも気があったら……あなたのこと助けてあげたいって思うじゃない?」
みどりの思惑を知って、紅美は怒りに震えた。
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