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「まさか……朝比奈さんをあてにしてわざと五千万って金額を言ったの……? 最低!!」
「まぁまぁ、そんな目くじら立てて怒らないでよ」
飄々とした態度のみどりにますます怒りがこみ上げてくる。今すぐにでも親子の縁を切ってやりたいくらいだった。
「私に五千万なんか用意できるわけないでしょ」
「できるわよ~そのルビーのネックレスさえあれば、簡単よ」
「え……」
卑しい目つきでみどりが紅美のネックレスを見ている。その視線に耐えかねて、紅美はルビーを庇うように身を捩った。
「これはだめ!」
「どうして?」
「これだけは手放せないの」
紅美の今までの成長をずっと祖母の代わりに見守ってきたといっても過言ではない。それをいまさらこんな人のために手放すなんて紅美には考えられなかった。
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