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「俺も嫌われたようなもんだからな、お前のお節介のおかげで」
「どうせ隠してても、ルビーを手に入れるために紅美さんを落とそうとしてたことは、いずれバレるでしょ、それで? 結構へこんでるわけ?」
「うるさい」
茶化すような大野の態度に朝比奈の眉間にシワが寄る。
「俺はお前を許したわけじゃない。今でも、こんな人前でなかったら殴ってやりたいくらいだ」
朝比奈が向ける嫌悪感の意味を理解すると、大野は小さくため息をついた。
「確かに、絵里のしたことは褒められたことじゃないけど……あの時、あいつが何を考えていたのかなんて、誰にもわからない」
「嘘つけ! この際だからはっきりさせてもらおうか? 絵里を裏で手引きしていたのはお前だったんだろ!?」
ダンッと派手に音を立てて朝比奈がグラスをカウンターに叩きつける。けれど、大野はびくりともせずに伏し目がちにそのグラスを見つめた。
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