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「それで~? 話したいこと、あるんでしょ?」
「あいつのルビーのネックレスはどうした?」
「ぷっ」
「なに笑ってんだよ」
朝比奈は、煙草の火種を灰皿に押し付けながら噴き出す葵に目を細めた。
「だって、あまりにも予想通りの質問だったから……ふふ」
「ふざけてる時間はない」
「持ってるわよ? あのネックレスを身に付けるだけでミリオネアにでもなったような気分ね。最高だわ」
葵に弄ばれているようなそんな雰囲気に、朝比奈は苛立ちながらも葵を挑発しない無難な言葉を頭の中で巡らせた。
葵は一度へそを曲げると一切話を聞かなくなり、手がつけられなくなる。子供がそのまま大人になってしまったような、そんな女だった。
「そうそう、ルチアシリーズの指輪デビューおめでとう。噂は海外にも広がってるわ。一体どうしたの? あんなに頑なに拒んでたのに」
「……まぁ、心境の変化ってやつだ」
「……ふぅん」
葵は、面白くなさそうにグラスの縁を人差し指でなぞる。
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