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「ああ~もう! 今のあなた全然違う! 私の好きだった神経図太くて不遜な朝比奈瑠夏はどこ行っちゃったのよ」
「はぁ? 何言ってんだ?」
勝手に人のことをイメージつけた挙句に、なぜ文句を言われなければならないのかと思うと、朝比奈はつくづく自分勝手な女だと呆れた。
「いくらだ? 一億か? 五億か? いくらでも出してやるから言ってみろ」
「ふん、お金でなんでも解決する癖は相変わらずなのね」
「お前に言われたくない」
葵は荒々しく煙草の火種を灰皿に押し付けると、ゴクリとグラスの酒を煽った。見るかに機嫌が悪そうな葵を見ていると、そろそろ朝比奈も限界を感じていた。
「嫌よ」
「は?」
「このルビーの所有権はいま私にあるの、お金をいくら積まれたって瑠夏を翻弄する力があると思ったら簡単には手放せないわね」
「な……」
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