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紅美が会社からようやく帰宅し、コンビニで買った弁当を平らげてソファに寄りかかっていると携帯が鳴り出した。
「うわっ! び、びっくりした」
着信音に驚いて、ウトウトとしていた目が一気に冴える。飛び跳ねるように身を起こすと、慌てて携帯を手に取って電話に出た。
「はい!」
『俺だ。いま電話して平気か?』
「朝比奈さん?」
こんな時間に朝比奈からの電話は珍しい。電話の向こうでガヤガヤとした雑音が聞こえる。
「今、外なんですか?」
『あぁ、急ぎの電話だ』
先日、アトリエでお互いの気持ちは確認し合ったものの、恋人として付き合っているのかと言われればよくわからない関係が続いていた。
こんな時間に今、どこで何をしているのか聞きたい気持ちを抑える。紅美は朝比奈の傍にいられるだけで今は幸せで、忙しい朝比奈の重荷になるようなことはしたくなかった。
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