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「世間話くらいしたっていいじゃない。私はもっとお話がしたいわ、あの超堅物俺様デザイナーを手玉にとったシンデレラガールとね」
「て、手玉に取るなんて……そんな言い方しないで欲しいんですけど……」
「今夜、指輪の会見に行くの?」
葵はフェンスの向こうに広がる街の景色をぼんやり眺めながら言った。
「はい。昨日、朝比奈さんから電話がかかってきて来いって……」
「……そう」
葵が煙草の煙を吐き出すと、しばらく沈黙が続いた。
「あなた……瑠夏のどこが好きなわけ?」
「え……?」
あまりにも唐突な質問に紅美が戸惑っていると、葵が紅美に向き直って真剣な眼差しを投げかけてきた。そんな視線に、葵が冗談で質問しているわけではないと無言で伝わってくる。
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