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「私にとって朝比奈さんは……傲慢で、いつも気取ってて……むちゃくちゃな人ですけど……私はそんな朝比奈さんに振り回されても嫌いになれないんです。デザインするのに苦しんで、そんな朝比奈さんの弱い部分を見ちゃったから……なおさら、傷つけられても傍にいたいって思えるんです」
一気に言い終わると、じっと葵のまっすぐな視線とぶつかる。紅美は自分で何を言っているのだろうと、その眼差しに慌てた。
「あ、あの! 私の気持ちなんてどうでもいいじゃないですか」
「どうでもいいわけないわよ。これはテストなんだから」
「テスト……?」
紅美がきょとんとしていると、葵がクスリと笑った。
「合格ね」
「は……い?」
葵が煙草の火を消すと、紅美に近づいて言った。
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