Last Secret 指輪が奏でる想い

29/47
前へ
/381ページ
次へ
「私、案外いい女でしょ? 瑠夏のことを任せられる子じゃななかったら、返すのもどうしようかな~なんて思ってたけど……そのネックレスは、やっぱり私には荷が重すぎるわ。じゃあね、ルビーちゃん」  葵が屋上を後にしようと紅美の横を通り過ぎる。 「待って! あ、あの……ありがとうございました」  紅美が葵の背中にぺこりと直角にお辞儀をすると、肩ごしに葵が振り返った。 「ただ……ひとつだけ約束して」 「約束……?」 「瑠夏を幸せにしてあげてね」  それだけ言うと、葵は二度と振り返ることなく歩き去った――。
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加