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「私、案外いい女でしょ? 瑠夏のことを任せられる子じゃななかったら、返すのもどうしようかな~なんて思ってたけど……そのネックレスは、やっぱり私には荷が重すぎるわ。じゃあね、ルビーちゃん」
葵が屋上を後にしようと紅美の横を通り過ぎる。
「待って! あ、あの……ありがとうございました」
紅美が葵の背中にぺこりと直角にお辞儀をすると、肩ごしに葵が振り返った。
「ただ……ひとつだけ約束して」
「約束……?」
「瑠夏を幸せにしてあげてね」
それだけ言うと、葵は二度と振り返ることなく歩き去った――。
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