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(そうだ……なに浮かれてるんだろう、私はただモデルを頼まれただけ……ただそれだけなんだから)
「紅美?」
朝比奈の怪訝そうに窺う目と合うと、紅美はハッとなって顔を上げた。
「え? あ、す、すみません! ぼーっとしちゃって……なんだか現実味がなくて……」
「次に兄貴の挨拶に変わったら、ここから抜け出すぞ」
「抜け出す……?」
任せておけ、と言わんばかりに朝比奈が片目をつぶると、これから朝比奈が一体何をしようとしているのか先が見えずに、ただ底知れぬ不安だけが募っていった――。
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