(はじめのいーっぽ)

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なぜなのだろう。 高校生の頃からバイトとして雇ってもらい、さらに高校を卒業してからは、正社員として働かせてもらっている、地元ではそこそこ有名なラーメン屋。 厨房と繋がっているカウンター席に座る、最近よく店に来る青年に、俺こと、猫沢圭はちらりと視線を投げた。 「あ、犬岡先輩。今日も来てんスか!俺、嬉しいっす!」 「ああ、うん、ここのラーメン美味しいからね。吉野、昨日ぶり」 テーブルの片付けをしていた、近所の高校に通うバイト男子が、その青年へと駆け寄ってから声をかける。 どうやら、高校の先輩後輩の間柄らしい。バイト生は確か今三年生だから、きっとこの客は大学生とかそこらへんだろう。そんな感じの話しをしていた気がする、多分だけど。 …なぜなのだろう。 俺はよく、この青年と目が合う。 自意識過剰なんですかね、俺。そうなんですかね。 いや、でも、けっこうな頻度で合うわけですよ、目が。 たまたまですかね。…うん、たまたまですね、はい。すみません変なこと考えて。 「猫沢、オーダー、豚骨ラーメン三人前」 「あ、はい!」 馬鹿みたいな考えを振り払って、厨房の奥へと、注文された品を作りに行ったのだった。
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